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#009「中高生のSNSが法律で制限?」遠ざけるか、使う力を育てるか
ポイントQ&A
この号のポイントを、3つのQ&Aで整理します。
Q1. 結局、中学生はSNSを使えなくなるの?
いまの時点では、そう決まったわけではありません。決まっているのは「年齢の確認を厳しくする方向で検討する」というところまでです。政府は2027年の通常国会に青少年インターネット環境整備法の改正案を出す方針ですが、何歳未満を対象にするのかも、どのサービスを対象にするのかも、まだ決まっていません。
海外の数字がそのまま日本に当てはまるわけでもありません。オーストラリアは16歳未満、フランスは15歳未満を禁じていますが、日本の会議はこの一律の年齢規制について「政府において引き続き議論を重ね」ると書くにとどめました。読売新聞の社説も「規制する年齢は何歳が妥当なのかも難しい問題だ」と書いています。何歳にするかは、これから決めることになっています。
Q2. LINEは対象になるの?
まだ決まっていません。ただし、実際に変わり方が大きいのはLINE以外のSNSだと考えられます。理由は2つあります。
第1に、LINEはすでに年齢を確かめる仕組みを持っています。携帯電話会社に登録された情報をもとに18歳以上かどうかを判定していて、こども家庭庁の資料も、LINEと、生年月日の自己申告だけで使えるサービスを分けて説明しています。つまり「年齢確認の厳格化」で実際に変わるのは、いま自己申告だけで使えているサービスのほうです。読売新聞の社説も「SNSの中には、すでに親子間や部活動の連絡などに広く使われているサービスもある」と書き、規制する場合はこうした状況をどう考えるかも重要な視点になるとしています。
第2に、一律に禁じたオーストラリアも、連絡の道具にあたるサービスを対象から外しています。対象になったのはFacebook・Instagram・YouTube・TikTok・Snapchat・X・Reddit・Threads・Twitch・Kickの10のサービスで、MessengerやWhatsAppは対象にあたらないと判断されました。連絡の道具まで取り上げる制度にはしない、という線を引いています。
ただし日本で同じ線になると決まったわけではありません。「LINEは規制されない」と読むのは早すぎます。
Q3. 年齢を確かめる義務は、いま誰にあるの?
意外に思われるかもしれませんが、携帯電話の会社です。青少年インターネット環境整備法は、携帯電話の契約のときに相手が18歳未満かどうかを確認することを事業者に義務づけています。フィルタリングを提供する義務もあります。
一方でSNSを運営する会社の側は「努力義務」にとどまります。有害な情報を知ったときに青少年が見られないようにする措置を「とるよう努めなければならない」という書き方で、従わなくても罰則はありません。いま議論されているのは、この努力義務を義務に変え、従わない場合に罰則を設けるかどうかです。
この義務の違いを知っておくと、2つの社説の分かれ方が読みやすくなります。読売新聞が「事業者任せで効果が上がるのか」と問うのは、入口の義務が携帯電話会社にしかなく、SNS側が努力義務だからです。日本経済新聞が「年齢を確かめたあとに何をするかが大切だ」と書くのは、確認そのものより、確認したあとの対策のきめ細かさに重みを置いているからです。同じ制度を見て、どこに手を入れるべきかの判断が分かれています。
出典 (参照したニュース)
- 読売新聞社説 子供とSNS 効果的な規制を実現するには (2026年8月3日)
- 日本経済新聞[社説]子供のデジタル力育む安全なSNSに (2026年6月24日)
- こども家庭庁青少年インターネット環境整備法に係る検討事項について (検討ワーキンググループ 第5回 資料1) (2026年6月15日)
- こども家庭庁青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討ワーキンググループ 中間整理報告書 (2026年7月31日)
- LINEヤフーLINEみんなの使い方ガイド「年齢確認を行う」 (2024年2月27日更新)
- LINEヤフーLINE「保護者の方へ」
- e-Gov法令検索青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律 (平成20年法律第79号)
- e-Gov法令検索国会法 (第2条 常会の召集) (昭和22年法律第79号)
- 日本経済新聞SNSの年齢確認、事業者に義務づけ こども家庭庁検討 (2026年6月19日)
- こども家庭庁令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果 (速報) (2026年2月)
- 総務省デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 青少年保護ワーキンググループ 第一次報告書 (2026年7月)
- 豪州 eSafety 委員会Which platforms are age-restricted (対象外サービスの一覧) (2026年3月30日更新)
- NTTドコモ モバイル社会研究所2025年親と子の調査「SNS利用率 小学生高学年で62% 中学生は95%」 (2026年2月16日)
- ジェトロ ビジネス短信オーストラリアで16歳未満のソーシャルメディア (SNS) 利用を制限、事業者に「合理的措置」義務付けへ (2025年12月)
文字起こし
こんにちは。「2つのニュース」です。今日は「中高生とSNS」について、1つの事実、2つのニュースをお届けします。 日本でも、子どものSNS利用をどこまで法律で制限するか、議論が進んでいます。2027年の通常国会に、法律の改正案が出される見込みです。 まず1つの事実です。多くのSNSは13歳以上が対象で、登録のときに入れるのは生年月日だけです。 例外がLINEで、携帯電話会社の情報をもとに18歳以上かどうかを確かめています。 いまの法律は、18歳未満を「青少年」としています。 年齢を確かめる義務があるのは携帯電話の会社で、SNSを運営する会社の側は努力義務にとどまります。 ほかのSNSも何もしていないわけではなく、疑わしい利用者を見つけたときに身分証などで確かめています。 海外では一律に禁じる国が出ています。オーストラリアは16歳未満を禁止し、フランスは今年9月から15歳未満を禁じる予定です。 1つめの視点です。読売新聞の社説。見出しは「子供とSNS 効果的な規制を実現するには」。 こども家庭庁の会議は、事業者に年齢の確認を厳しくするよう求めました。手段はマイナンバーカードなどを検討するとしています。 従わない場合は罰則も検討すべきだとしています。 社説は問います。事業者任せで効果が上がるのか。年齢による一律の規制も排除すべきではない、と述べます。 2つめの視点です。日本経済新聞の社説。見出しは「子供のデジタル力育む安全なSNSに」。 10歳から17歳の99パーセントがネットを使い、平日の利用時間は平均5時間27分にのぼります。 社説は、SNSは表現や交流の手段でもあり、単に遠ざけるのが最善とは思えないとします。 総務省の会議は一律に年齢で使用を禁止することは望ましくないのではないかとしており、社説はこれを妥当だと評価します。 大切なのは年齢を確かめたうえで、どんな安全対策をとるかだと述べます。 2つの視点を並べます。読売新聞は、効果が上がらないなら一律の規制も選択肢に入れるべきだ。 日本経済新聞は、一律に遠ざけるのではなく、安全に使う力を育てよ。 2つの社説は、参考にした会議も違います。読売はこども家庭庁、日経は総務省の報告です。 何歳から規制するのか。日本ではまだ決まっていません。改正案は来年の通常国会に出される見込みです。 くわしくは「2つのニュース」で。
ニュースのテーマによって、中学の社会・理科・数の読解も学べます。


