#002天気予報に加わった新しい言葉「酷暑日」
「2つのニュース」です。今日は「酷暑日」について、1つの事実、2つのニュースをお届けします。
「酷暑日」という出来事を、日本のニュースは「今日の命をどう守るか」の話として、海外のニュースは「気候が長い時間をかけて変わってきた結果」の話として伝えました。どちらも同じ事実を扱っていますが、読み終えたあとに残るものは違います。
ポイントQ&A
この号のポイントを、3つのQ&Aで整理します。
Q1: 最高気温が40度以上の日を、なんと呼ぶか知っていますか?
A: 「酷暑日」です。約47.8万件のアンケートをもとに、気象庁が2026年4月に決めたばかりの言葉で、まだ知らない人も多い、できたての呼び名です。
Q2: 同じ暑さのニュースなのに、日本と海外で伝え方がちがうのは、なぜでしょうか?
A: 出来事との距離が違うからです。日本の記事は、今夜の読者の命を守るために急いで書かれ、海外の記事は、離れた場所から世界の変化の1つとして書かれています。距離感が変わると、同じ事実でも伝え方が変わります。
Q3: 地球温暖化や気候の変化は、何年くらいの単位で見た話か知っていますか?
A: 天気は「今日とあす」の単位ですが、気候は、ふつう30年ほどの平均で考えます。天気予報でいう「平年並み」も、過去30年の平均が基準です。地球温暖化の話になると、さらに長く、100年単位の変化を追いかけます。海外の記事がこの暑さを「数年から数十年」の長さで見ていたのは、気候の話をしていたからです。
出典 (参照したニュース)
文字起こし
タイトルこんにちは。「2つのニュース」です。今日は「酷暑日」について、1つの事実、2つのニュースをお届けします。この暑さを、日本のニュースは今日の命をどう守るかという視点で、海外のニュースは気候の長い変化という視点で伝えました。今日は、この2つのニュースを、読み比べます。
1つの事実今年の夏、天気予報に新しい言葉が加わりました。気象庁が今年4月に決めた、40度以上の日のことです。夏日、真夏日、猛暑日の上に、酷暑日が加わりました。7月21日、岐阜県と愛知県で40度を超えました。7月下旬には5日連続。これまでで最も長い記録です。熱中症の救急搬送は、1週間で1万857人。前の週の約2.4倍でした。今日読み比べるのは、日本と海外の4つの記事です。ここまでの事実は、4つとも同じことを書いています。
何を伝えたかまず、日本のニュースは、何を伝えたか。NHKと時事通信は、いま目の前の危険から、どう命を守るかという視点で伝えました。NHKは、記録を伝えたうえで、熱中症への対策を呼びかけています。時事通信は、消防庁の言葉を伝えました。「もはや災害といっても過言ではない」。2社が伝えているのは、今日とあすを乗り切る行動です。続いて、海外のニュースは、何を伝えたか。イギリスのインディペンデントとトルコのアナドルは、気候が長い時間をかけて変わってきた、という視点で伝えました。注目したのは、気温よりも、新しい言葉が必要になったこと自体です。2社ともこの記事を、気候変動のコーナーに置いています。
2つの視点・締めどちらの記事にも、暑さへの対策と、5日連続の記録の両方があります。その2つのどちらに軸足を置いたかで、報道の性格が変わりました。暑さを「今日の危険」と捉えるか、「気候の変化」と捉えるか。今日は「酷暑日」に関する、1つの事実、2つのニュースでした。
今年の夏、天気予報に新しい言葉が加わりました。最高気温が40度以上の日を指す「酷暑日 (こくしょび)」です。
気象庁が今年4月に決めた呼び名で、約47.8万件の回答が集まったアンケートをもとに選ばれました。最高気温の呼び名は、25度以上の「夏日」、30度以上の「真夏日」、35度以上の「猛暑日」ときて、その上に「酷暑日」が加わったことになります。
そして7月21日、岐阜県多治見市で40.3度、郡上市で40.0度、愛知県豊田市で40.1度。初めての酷暑日が観測されました。7月下旬には、国内で酷暑日となった日が5日続き、これまでで最も長い記録になりました (2026年7月25日時点)。
熱中症で救急搬送された人は、7月13日からの1週間で10,857人。前の週の約2.4倍で、今年初めて1万人を超えました。搬送された人の6割以上が65歳以上で、発生した場所は住居がいちばん多くなっています。
今日読み比べるのは、日本と海外の4つの記事です。ここまでの事実は、4つとも同じことを書いています。
NHK と時事通信は、この暑さのことを、いま目の前の危険からどう命を守るかという視点で伝えました。
NHK は、5日連続で最長になったことを伝えたうえで、今後も各地で猛暑が予想されるとして熱中症への対策を呼びかけています。時事通信が取り上げたのは、総務省消防庁の発表です。消防庁はこの暑さについて「もはや『災害』といっても過言ではない」と警鐘を鳴らしました。記事の後半は、のどが渇く前に水分と塩分をとる、熱中症警戒アラート (熱中症の危険がとても高い日に出るお知らせ) が出た日はできるだけ外出を控える、といった具体的な備えの紹介にあてられています。
この2つの記事はいずれも、今日とあすを乗り切るための行動を呼びかけています。
イギリスの新聞インディペンデントとトルコの通信社アナドルは、この記録的な暑さのことを、気候が長い時間をかけて変わってきた結果としてとらえました。
インディペンデントが着目したのは、40度という数字よりも、「酷暑日」という言葉が必要になったこと自体でした。国の気象機関がこの言葉を作ってから、わずか数週間で使われることになりました。その時間の短さを、記事の書き出しに置いています。「酷暑日」は、英語では「残酷に暑い日」(cruelly hot day) と紹介されました。「酷」の字が「厳しい」「むごい」という意味だからです。この記事にも、冷房を使う、水分と塩分をとる、長時間の外出を避ける、という呼びかけは書かれています。
この2社が記事を載せた場所は、いずれも「気候変動」(地球の気候が長い時間をかけて変わっていくこと) のコーナーでした。とくにインディペンデントは、極端な暑さが日本の夏のあたりまえの一部になりつつあり、その背景には化石燃料を燃やすといった人間の活動による気温の上昇があること。昨年は日本で41.8度という最高気温が記録されたこと。今年はヨーロッパでも記録的な熱波があったこと。この3つを、ひとつながりの変化として並べました。
海外の2社も冷房や水分補給といった対策を伝えていますし、日本の2社も記録的な暑さそのものを伝えています。どちらを柱に選んだかに、視点の違いが出ました。
NHK と時事通信は、この暑さのことを、今日をどう乗り切るかという視点で伝えていました。インディペンデントとアナドルは、同じ暑さのことを、気候が数十年かけて変わってきたという視点で伝えていました。
| 比べる点 | 日本のニュース | 海外のニュース |
|---|---|---|
| 見ている時間の長さ | 今日とあす | 数年から数十年 |
| 記事の柱 | 搬送の数字と、いま何をするか | 新しい言葉が必要になったこと |
| 記事が視野に入れた範囲 | 日本国内の、今日とあすの現場 | 世界で同時に起きている変化 |
観測の事実はひとつでした。違ったのは、その事実をどれくらいの時間の長さで見たかです。
暑さを「今日の危険」と捉えるか、「気候の変化」と捉えるか。視点の違いで、ニュースの性格が変わってきますね。今日は、酷暑日に関する、1つの事実、2つのニュースでした。
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Some days are 40 degrees or higher.
40度以上の日もあります。
温度や角度の「度」を表す語です。数字のあとに置き、2度以上では degrees と s がつきます。40 degrees = 40度。天気の会話でそのまま使えます。
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You should drink water often on hot days.
暑い日は、こまめに水を飲んだほうがよいです。
助動詞 should は、相手にすすめるときの「〜したほうがよい」を表します。あとに続く動詞は原形のままです。
You ( ) drink a lot of water on hot days.
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In July 2026, the temperature reached 40 degrees or higher in many cities.
2026年7月には、多くの都市で気温が40度以上になりました。
天気のニュースによく出てくる語です。The temperature goes up (気温が上がる) / reaches 40 degrees (40度に達する) の形で使います。
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Last summer was the hottest summer on record in Japan.
昨年の夏は、日本で観測史上いちばん暑い夏でした。
3つ以上のものの中で「いちばん〜」と言うときは、the をつけて -est の形にします。hot は t を重ねて the hottest になります。on record (観測史上) や in Japan (日本で) のような範囲を示す言葉と組み合わせて使うことが多いです。
Yesterday was ( ) day of this year.
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In July 2026, Japan recorded its first kokushobi, a day of 40 degrees or higher.
2026年7月、日本で初めての「酷暑日」、つまり40度以上の日が記録されました。
動詞では「記録する」、名詞では「記録」です。名詞の the hottest summer on record (記録上いちばん暑い夏) もニュースに何度も出てくる形です。動詞と名詞でアクセントの位置が変わる (動詞は後ろ、名詞は前) ことにも気をつけてください。
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Due to climate change, such extreme heat is no longer rare in Japan.
気候変動が原因で、このような極端な暑さは、日本ではもはやめずらしくありません。
うしろに名詞を続けて、原因を表します。because のあとには文 (主語 + 動詞) が続くのに対し、due to のあとには名詞だけが続く、という違いが問われます。ニュースや論説では文頭の Due to 〜, の形でよく出ます。
The train stopped ( ) the heavy rain.
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今日の理科 (気象) - 暑さの呼び名と地球温暖化← クリックで表示されます
- 最高気温の呼び名には階段があります。夏日 = 25度以上 / 真夏日 = 30度以上 / 猛暑日 = 35度以上 / 酷暑日 = 40度以上。いちばん上の「酷暑日」は2026年4月に気象庁が加えました。
- 今回の暑さの直接の原因は、日本列島を覆った強い高気圧です。高気圧の下では空気が押し下げられて温まり、雲ができにくいので、晴れて気温が上がりやすくなります。
- 地球温暖化で平均気温が上がると、40度級の極端な暑さの日が現れやすくなります。「酷暑日」という新しい呼び名が必要になったこと自体が、その変化のあらわれといえます。
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入試つながりメモ: 「夏の太平洋高気圧と気温」「地球温暖化と極端な気象」は理科の定番です。今回のニュースは、その定番の知識に「新しい言葉が必要になった」という実例がついた形になっています。
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| 語 | 読み | 意味 (記事での使われ方) |
|---|---|---|
| 観測 | かんそく | 気温などを実際にはかって調べること。「初めての酷暑日が観測された」 |
| 警戒 | けいかい | 悪いことが起きないよう注意して備えること。「熱中症警戒アラート」 |
| 搬送 | はんそう | 病院などへ運ぶこと。「救急搬送された人は1週間で10,857人」 |
| 気候 | きこう | ある土地の、長い期間の天気の傾向。「気候変動」 |
| 酷暑 | こくしょ | きびしい暑さ。「酷」はきびしい、むごい、という意味 (読めれば OK の発展語) |
| 行 | 下線を付ける語 | 選んだ理由 |