#0048%から1%に下げる方針が決まった「食料品の消費税」
「2つのニュース」です。今日は「食料品の消費税」について、1つの事実、2つのニュースをお届けします。
食料品にかかる消費税を8%から1%に下げる。この方針を、共同通信は暮らしがどう変わるかという視点で、日経新聞はそのお金をどこから出すのかという視点で伝えました。決まったことは1つでも、どこに目を向けるかで、見えてくるものが変わります。
ポイントQ&A
この号のポイントを、3つのQ&Aで整理します。
Q1: 消費税は、始まってから一度でも下がったことがあると思いますか?
A: 一度もありません。1989年に3%で始まってから、5%、8%、10%と上がる一方でした。今回の方針が実現すれば、導入から38年で初めての引き下げになります。
Q2: 安くなった分のお金は、どこから来るのでしょうか?
A: 税金が安くなる分、国に入るお金は減ります。その埋め方はまだ決まっておらず、秋の国会に持ちこされました。「安くなる」の裏には、いつも「誰が負担するか」という問いがあります。
Q3: もしあなたが財務大臣なら、減った分のお金をどうしますか?
A: 簡単には答えの出ない問いです。国の借金を増やす、ほかの支出を削る、別の税金で集める、などが考えられますが、どれにも良い点と難しい点があります。9月からの議論で何が選ばれるのか。ここが続報のいちばんの見どころです。
出典 (参照したニュース)
文字起こし (動画のナレーション全文)
タイトルこんにちは。「2つのニュース」です。今日は「食料品の消費税」について、1つの事実、2つのニュースをお届けします。この決定を、共同通信は暮らしがどう変わるかという視点で、日経新聞はお金をどこから出すのかという視点で伝えました。この2つのニュースを、読み比べます。
1つの事実8月5日、政府は、食料品にかかる消費税を1%にする方針を決めました。いまの8%から、1%へ。2027年4月から、2年間の予定です。いま食料品だけが8%なのは、軽減税率という仕組みがあるからです。1989年に消費税が始まってから、税率が下がるのは初めてです。あわせて、収入が少ない人たちに、1%分にあたる年およそ6000億円が現金で配られます。給付を受け取る人にとっては、食料品の消費税が実質ゼロになる、というねらいです。ただし、決まったのは政府の方針です。この秋の国会で法律が決まってから、実施されます。今日読み比べるのは、共同通信と日経新聞の記事です。ここまでの内容は、2つとも同じです。
共同通信は、何を伝えたかまず、共同通信は、何を伝えたか。共同通信は、暮らしがどう変わるか、という視点で伝えました。来年4月から2年間、食料品が1%になる。給付とあわせて、実質ゼロになる。消費税が始まってから初めての引き下げで、物価高対策の目玉だと伝えています。
日経新聞は、何を伝えたか続いて、日経新聞は、何を伝えたか。日経新聞は、その分のお金をどこから出すのか、を記事の視点にしました。税率を下げると、国に入る税金は減ります。その分は、どこかで埋めなければなりません。日経新聞は、その方法を示さないまま決まった、と書いています。案はいくつか出ていますが、どこから出すのかは、まだ決まっていません。
2つの視点・まとめどちらの記事も、同じ8月5日の決定を伝えています。違う出来事を伝えているわけではありません。しかし、どこに視点を置いたかで、同じ決定から見えるものが変わります。安くなるのはいつからか。そのお金はどこから来るのか。2つの記事は、それぞれの問いに答える記事でした。今日は「食料品の消費税」に関する、1つの事実、2つのニュースでした。
8月5日、政府は臨時の閣議で、食料品にかかる消費税を1%にする方針を決めました。いまの8%から1%へ。2027年4月から2年間の予定です。
消費税は、ものやサービスを買うときに、値段に上乗せして払う税金です。税率は10%ですが、食料品 (お酒と外食をのぞく) と週2回以上発行される新聞だけは8%に据え置かれています。この仕組みを軽減税率といいます。今回下げるのは、このうち食料品の部分です。

1989年に消費税が始まってから、税率が下がるのは初めてです。3%で始まり、1997年に5%、2014年に8%、2019年に10%と上がってきました。

あわせて、収入が中くらいから下の人たちには現金が配られます。1%分の税収にあたる年間およそ6000億円を給付にまわし、食料品にかかる消費税を「実質ゼロ」にする、というのが政府の説明です。

ただし、決まったのは政府の基本方針です。9月に税制改正大綱をまとめ、秋の臨時国会に関連法案を出して成立を目指す、という段取りになっています。いまの時点では、まだ法律にはなっていません。

今日、読み比べるのは、共同通信と日本経済新聞の記事です。ここまでの内容は、2つとも同じです。
共同通信は、この決定を、暮らしがどう変わるかという視点で伝えました。
いつから、何が、どう変わるのか。いま8%の飲食料品の消費税を、2027年4月から2年間に限って1%に引き下げる。1%分の税収にあたる年間およそ6000億円を中低所得者に現金で給付し、飲食料品にかかる消費税を「実質ゼロ」とする。記事はこの中身を順に伝えています。
そのうえで置かれているのが、1989年の消費税導入後で税率の引き下げは初めてだ、という一文です。消費税はこれまで上がる一方でした。3%から5%へ、5%から8%へ、8%から10%へ。下がるのは、この記事が伝えているとおり初めてのことです。
記事はさらに、9月に税制改正大綱をまとめ、秋の臨時国会に関連法案を提出して成立を目指す、と続きます。いつ決まり、いつ買い物に反映されるのかまでが書かれています。
減税が終わったあとのことも書かれています。2029年度から、収入に応じた新しい給付の仕組みを本格的に始め、税や社会保険料の負担が重い人の手取りを増やす、という方針です。
買い物のたびに払う税金が、いつ、どう変わるのか。共同通信が伝えたのは、その道すじです。
日本経済新聞は、同じ決定を、お金の側から書きました。
食料品の税率を8%から1%に下げれば、国に入る税金は減ります。減った分は、どこかで埋めなければなりません。日経新聞が記事の視点にしたのは、この点です。

記事は、その財源をどうするのかの具体的な方法が示されないまま決まった、と書いています。案はいくつか挙がっていますが、どこから出すのかは決まっていません。
決まったのは基本方針までで、お金の中身は9月の税制改正大綱と、秋の国会での議論に持ちこされます。
安くなる分のお金は、誰かが用意しなければなりません。日経新聞が伝えたのは、その問いがまだ残っているということです。
どちらの記事も、同じ8月5日の決定を伝えています。片方が何かを隠しているわけではなく、どちらの記事にも決まった中身と今後の予定が書かれています。違うのは、どこに力点を置いたかです。
共同通信は、この決定のことを、暮らしがどう変わるかという視点で伝えていました。日経新聞は、同じ決定のことを、そのお金をどこから出すのかという視点で伝えていました。
| 比べる点 | 共同通信 | 日本経済新聞 |
|---|---|---|
| 記事の主役 | 買い物をする人 | 国のお金 |
| 記事の柱 | 来年4月から食料品が1%になり、給付とあわせて実質ゼロになること | 減った税収をどこから埋めるかが決まっていないこと |
| 読み終えて残るもの | いつから、どう安くなるのか | そのお金はどこから来るのか |
8月5日に決まったことは、ひとつです。違ったのは、その決定のどこに目を向けたかでした。
安くなるのはいつからか。そのお金はどこから来るのか。2つの記事は、それぞれの問いに答える記事でした。
なお、この方針が実際に動きだすのは2027年4月です。それまでに国会での審議があり、財源の議論も続きます。今回決まったのは出発点であって、終わりではありません。
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Japan will cut the tax on food.
日本は、食料品にかかる税金を下げます。
「切る」が元の意味ですが、ニュースでは「下げる」の意味でよく使われます。cut the tax (税金を下げる)、cut the price (値段を下げる) のように、あとに下げる対象を置きます。名詞としても使い、a tax cut で「減税」になります。
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The tax will go down to one percent.
その税金は1%まで下がります。
これから起こることを表します。うしろには動詞の原形が続くので、goes や went ではなく go になります。今回のニュースはまだ決まっていない先の話なので、英語の記事でも will がよく使われています。
The tax will ( ) down to one percent.
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The government decided to lower the tax on food and drinks.
政府は、飲み物と食べ物にかかる税金を下げることを決めました。
decide to + 動詞の原形で「〜することを決める」です。過去形は decided。名詞は decision (決定) で、make a decision (決定する) の形でも使います。ニュースの英語では、政府や会社が何かを決めたときにこの語が出てきます。
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The rate will fall from eight percent to one percent.
その税率は8%から1%まで下がります。
始まりと終わりをセットで示す形です。数字だけでなく、from Monday to Friday (月曜から金曜まで)、from Tokyo to Osaka (東京から大阪まで) のように、時間にも場所にも使えます。今回のように税率の変化を書くときにも、そのまま使えます。
The rate will fall ( ) eight percent to one percent.
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The tax cut will reduce government revenue by a large amount.
その減税は、政府の税収を大きく減らすことになります。
国や会社に入ってくるお金のことです。government revenue で「国に入る税金」、tax revenue で「税収」になります。会社について使えば「売上高」の意味になります。出ていくお金は expenditure (歳出) で、ニュースではこの2つが対で出てきます。
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The government decided on the plan without showing where the money would come from.
政府は、お金をどこから出すのかを示さないまま、その案を決めました。
without のうしろは動詞の -ing の形になります。「〜しないで」という否定の意味を、not を使わずに表せる形です。論説やニュースでは、やるべきことをしないまま何かが進んだ、と書くときによく使われます。
The government decided on the plan ( ) showing where the money would come from.
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今日の歴史 - 消費税のあゆみ← クリックで表示されます
- 消費税は1989年 (平成元年) 4月に、税率3%で始まりました。前の年の12月に法律が成立し、竹下内閣のもとで実施されました。それまでは、宝石や自動車などにかけられる物品税がありましたが、消費税の導入とともに廃止されました。
- 導入までには2度の失敗がありました。1979年に大平内閣が「一般消費税」を掲げて総選挙で敗れ、1987年には中曽根内閣の「売上税」の法案が国会で廃案になっています。3度目でようやく実現した税でした。
- その後、税率は上がる一方でした。1997年に5%、2014年に8%、2019年に10%。2019年からは、食料品などだけ8%に据え置く軽減税率が始まりました。そして2026年8月5日、政府は食料品の税率を1%に下げる方針を決めました。下がるのは、始まってから初めてです。
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入試つながりメモ: 歴史では昭和から平成への切りかわりと、バブル経済の時期が同じころです。消費税が始まった1989年は、日経平均株価が最高値をつけた年でもあります。公民とつなげるなら、消費税は間接税で、収入の少ない人ほど負担の割合が重くなる (逆進性) という論点が定番です。今回の「食料品だけ下げる」という方法は、その逆進性をやわらげるねらいと結びつけて説明できます。
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| 語 | 読み | 意味 (記事での使われ方) |
|---|---|---|
| 閣議 | かくぎ | 内閣の大臣が集まって、政府の方針を決める会議。「臨時の閣議で」 |
| 税率 | ぜいりつ | 税金をかける割合。「税率は10%ですが」 |
| 給付 | きゅうふ | 国などがお金や物を渡すこと。「現金で給付」 |
| 財源 | ざいげん | あることをするために必要なお金の出どころ。「財源をどうするのか」 |
| 大綱 | たいこう | 物事のおおもとの方針をまとめたもの。「税制改正大綱」(読めれば OK の発展語) |